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津島 曜一郎

ドイツ人

不思議!シーパラダイス発見

(水に飛び込む音)

果南・鞠莉「うわ~!」

鞠莉「エキサイティーング! イルカショーって何度見ても最高!」

(鳴き声)

果南「そうだね鞠莉。イルカが泳いでるのを見るだけで、なんだか癒されるよ。不思議だよね」

鞠莉「果南もできそうだけど?」

果南「え? 何を?」

鞠莉「ああやってイルカと一緒に泳いだり!」

果南「できるかなぁ」

鞠莉「だってだって! ダイビングしてて魚と一緒に泳いだりするし!」

果南「けどほら、イルカは哺乳類だから」

鞠莉「え、哺乳アニマルだと何かダメ?」

果南「哺乳アニマルって……まあ、基本ダイビングのお供は魚類かなって」

鞠莉「ノー! 決めつけはダメ! むしろ同じ哺乳アニマル同士の方が、一緒に泳いでて絆が生まれるから!」

果南「そうなの?」

鞠莉「そう! 私も乗馬のレッスンしてる時、『あっ、この子私のこと考えて走ってくれてる』って思うよ」

果南「へぇ~」

鞠莉「だから果南も、魚だけじゃなくてイルカとも付き合ってみないと!」

果南「付き合う以前に、出会いがね」

鞠莉「そんなこと言わないで目指そうよ! イルカに乗った果南!」

果南「ははは……」

鞠莉「乗馬レッスンみたいに乗イルカレッスンを!」

果南「わかったから! 落ち着いて鞠莉」

鞠莉「えー、いいと思うけど。ねえダイヤ?」

ダイヤ「……ふう」

鞠莉「ん?」

果南「あれ? どうしたのダイヤ?」

ダイヤ「どうもしませんけど。しません……け……ど」

鞠莉「してるようにしか見えないよ?」

ダイヤ「んん~……あぁ!」

鞠莉「オゥ!」

果南「ダ、ダイヤ?」

ダイヤ「やっぱりダメですわ! スッキリしませんわ!」

鞠莉「ホワッツ?」

果南「何がスッキリしないの?」

ダイヤ「決まってますわ! イルカのことです!」

鞠莉「ホワッツ?」

果南「そんなことないよ! 水の抵抗が少なくなるようスッキリと流線型を描いて……」

ダイヤ「イルカの身体の話ではなくて! ここにイルカがいることがですわ!」

鞠莉「ホワーッツ?」

果南「いるに決まってると思うけど。だって私達、三津シーのイルカの海にいるんだから」

ダイヤ「そこもですわ!」

果南「そこも?」

鞠莉「ホワッツ?」

ダイヤ「三津シー、という名前ですわよ」

果南「えぇ、だってここ三津シーだよ? 伊豆・三津シーパラダイス

ダイヤ「そこですわ。伊豆はまだ許せます、ここは伊豆半島ですから。ですが三津は」

鞠莉「間違いないよ、ここは三津だよ?」

果南「だいたい、ダイヤが住んでるのも三津でしょ?」

ダイヤ「字が問題なんです!」

果南・鞠莉「字が?」

ダイヤ「小さい頃からずっと気になっていましたわ。三津という字を思い浮かべてください。三に津、と書いて三津! どうして津をトと読むんですの!?」

果南「どうしてって、昔からそう読むし」

鞠莉「もーう! ダイヤは細かいこと気にしすぎ!」

ダイヤ「そして、そもそもの問題はイルカですわ」

果南「イルカの何が……」

ダイヤ「どうしてここにイルカがいるんですの!」

果南「だから、ここはイルカの海で」

ダイヤ「そういうことではなくて! 思い出してください、今私達は3組に分かれてそれぞれ水族館を見て回っていますわ」

鞠莉「なーに今更」

ダイヤ「千歌さん達はどこにいます? あわしまマリンパークですわ」

果南「それがいったい」

ダイヤ「おかしいと思いません? あちらにもイルカのプールがあるんですのよ」

鞠莉「あー、あったね」

果南「連絡船降りてすぐのところにね」

ダイヤ「こんなに近くで、何故イルカプールが2つもありますの!? おかしいですわスッキリしませんわ!」

鞠莉「あー、ダイヤのスッキリしないってそういうことだったんだ」

果南「けど、別にいいんじゃない? 近くに2つあっても」

ダイヤ「いいえ! やはりスッキリしませんわ。そもそも水族館がこれだけ近くに3つもあるということ自体スッキリしないと思っていましたの! そんなに必要がないでしょう? 水族館は。いくら海に近いと言っても、そもそも日本は広く海に面しているのですから、ならすべての海沿いの町や村に水族館を作るのかという話にもなりますし? いいえ、決して3つあることを否定するわけではありませんが、なら逆に3つが連携して3本の矢のようになれば(フェードアウト)


場面チェンジ


鞠莉「もう、ダイヤほんっとに鬱陶しい」

果南「細かいことが気になっちゃうタイプなんだよね」

鞠莉「まあ、そんなダイヤはほっといて。ねえねえ、次は何見に行く?」

果南「ふふ、楽しんでるね鞠莉は」

鞠莉「だって、楽しいもん! 果南は楽しくないの?」

果南「地元で、もう何度も来てるからね。新鮮さはないかな」

鞠莉「そうかなぁ。私は、楽しいものは何度でも楽しいけど!」

果南「お得な性格だね、鞠莉は」

鞠莉「お得? ハッピーな性格ってこと?」

果南「ハッピーな性格って言うと、ちょっと別の意味になっちゃう気がするけど」

鞠莉「もーう! 果南も細かい! もっとグローバルで、コンテンポラリーにいこうよ! グロコンで!」

果南「グロコン?」

鞠莉「ほらダイヤも、これからはグロコンでいくよ!」

果南「グロコンでいくって、もう意味が分からないよ」

鞠莉「ほら、どうしたのダイヤ。返事は?」

果南「っていうか、ごめんねダイヤ! 置いてけぼりにしちゃっ……て……」

鞠莉「もう、さっきはスピーカーモードだったのに、今度はサイレントモード? 極端だよダイヤは。もっと柔軟に」

果南「ちょうちょうちょう! 何やってるの鞠莉!」

鞠莉「ホワッツ?」

果南「ホワット、じゃなくて! ダイヤじゃないよ!」

鞠莉「ノーダイヤ?」

果南「ノーだよノー! よく見てよ!」

鞠莉「はっ! ダイヤが黒い!?」

果南「黒いっていうか、色以前の問題で」

鞠莉「ダイヤが黒い? 黒いダイヤ……はっ! 石炭!?」

果南「わからないよその例え! ていうかこの子ダイヤじゃないよ! 人間ですらないよ」

鞠莉「ダイヤが人間じゃない? 人でなし!?」

果南「だから!」

鞠莉「もう、何慌ててるの果南。ダイヤはダイヤだよ? ダイヤをちょっと黒くして小さくして、くちばしをつけて手をペラペラにして足に水かきをつけた……」

果南「ペンギンだよ!」

鞠莉「オーゥ! ペンギン!」

果南「オーゥ! ペンギン!、じゃなくて!」

鞠莉「ダイヤがペンギンにバージョンアップ!?」

果南「じゃなくて! ていうか、アップなの?」

鞠莉「だって、こっちの方がキュートだし。鬱陶しくないし?」

果南「ペンギンはペンギンだよ! ダイヤじゃないよ!」

鞠莉「はっ! じゃあ本物のダイヤは、ペンギンに食べられて……」

果南「食べられないよダイヤはペンギンに!」

鞠莉「じゃあ、誰に食べられたの!?」

果南「誰にも食べられてない!」

鞠莉「じゃあじゃあ、本物のダイヤはどこに……」

(走り寄ってくる音)

ダイヤ「ここにいますわよぉー!」

果南「うわぁ!」

鞠莉「オゥ! ダイヤ! 無事だったの?」

ダイヤ「はあ……はあ……最初っから無事ですわ。それ以前に、どうやったらペンギンと私を間違えたりしますの! だいたい鞠莉さんはいつも!」

果南「あーストップストップ! それより今は、ここにペンギンがいることが問題だって!」

鞠莉「問題? クエスチョン?」

ダイヤ「別に何もおかしくありませんわ。以前からここではペンギンも飼育されていますもの」

果南「この場所にいることが問題でしょ! ここプールの中とかじゃないんだよ? 普通に通路なんだよ!?」

鞠莉・ダイヤ「あっ」

ダイヤ「ということは?」

鞠莉「エスケープ?」

(鳴き声と逃げていく音)

果南・鞠莉・ダイヤ「あっ!」

鞠莉「オーゥ! 今まさにエスケープ!」

果南「どうしよう……」

ダイヤ「そ、それはその……つ、捕まえますわよ!」

鞠莉「ラジャ! ペンギン、御用だー!」

果南「ああ鞠莉! 乱暴はしないで!」

ダイヤ「鞠莉さん!」

鞠莉「御用だー!」

 

場面チェンジ


鞠莉「ペーンギーン、どこ行ったー? ペーンギーン?」

果南「ゴミ箱の中にはいないと思うけど……」

ダイヤ「ちょっと、鞠莉さん? 本当にこの部屋に入りましたの?」

鞠莉「入ったよ。私、ダブルな眼でちゃんと見たもん」

果南「ダブルの眼……」

ダイヤ「隅から隅まで探しましたけど、どこにもいませんわ。本当に見ましたの?」

鞠莉「見・た! ルッキング!」

果南「わかったから!」

鞠莉「これはあれだよ、ミステリーだよ!」

果南・ダイヤ「ミステリー?」

鞠莉「ペンギン消失ミステリー! きっと、奇想天外なトリックが」

果南「誰がそんなトリック仕掛けるの?」

鞠莉「それは……」

果南「え?」

ダイヤ「って! なんで私の方を見るんですの!?」

鞠莉「ダイヤにはあるんだよ、動機が!」

果南「動機?」

鞠莉「イエス! 無駄にプライドの高いダイヤは、ペンギンに間違えられたことが許せず私達の目を盗んで強行に……」

ダイヤ「そんなわけないでしょう? それに無駄にプライドが高いってな何ですの?」

鞠莉「そうだよね、あり得ないよね~。むしろダイヤに間違えられたペンギンの方が許せないはずで」

ダイヤ「どういう意味ですの」

果南「まあまあ! 見つからないのはもう仕方ないよ! あとは係の人に任せよ? ね?」

鞠莉「はぁ~、果南……」

ダイヤ「はあ……あなた、そういう人でしたのね」

果南「え?」

ダイヤ「なんて無責任ですの!? 始めたことを途中で投げ出すなんて!」

果南「そ、それは……でも、中のことは係の人の方が詳しいだろうし!」

鞠莉「果南はそれでいいの!? 半分持ってかれちゃうんだよ?」

果南「はぁ?」

鞠莉「だって、そうでしょ? 拾ったものをポリスマンに届けたらお礼に半分」

果南・ダイヤ「貰えない!」

果南「相手はペンギンなんだよ? 半分貰うとかないから」

ダイヤ「それに貰ってどうするつもりですの?」

鞠莉「飼う」

果南・ダイヤ「は?」

鞠莉「家で飼う!」

果南「ちょ、そんなのダメだよ! ペンギンはここの子なんだから!」

鞠莉「証拠は?」

果南「え?」

鞠莉「あのペンギンが三津シーのペンギンだっていう証拠」

果南「それはー、え、えーっと」

ダイヤ「ここのペンギンに決まってますわよ。それ以外のペンギンがいるわけないでしょう!?」

鞠莉「何でいないって言い切れるの?」

ダイヤ「言い切れますわよ! どこから他所のペンギンが紛れ込むって言いますの!?」

鞠莉「南極から?」

ダイヤ「果てしないですわね」

鞠莉「とにかく証拠がない以上、あのペンギンは見つけた人のものでしょう?」

ダイヤ「だからダメですわよ! だいたい見つかってもいないのに!」

鞠莉「それなら、向こうのプールにたくさん!」

ダイヤ「あそこのペンギンは完全にここのペンギンですわよ!」

鞠莉「だから、証拠は? 南極から旅してきたペンギンが、たまたまここのプールに」

ダイヤ「あり得ませんわよ」

果南「あっ」

(鳴き声)

果南「ねえねえ、あれって探してたペンギンじゃないの? ねえ!」

鞠莉「だいたい、ダイヤは固いんだよ。いくら硬度10だからって」

ダイヤ「誰が硬度10ですの!? あなたの言うことがおかしいんでしょう!?」

果南「ちょっと2人とも、ねえ!」

鞠莉「さっきのイルカだって、たまたま紛れ込んできた野良イルカかもしれないでしょ?」

ダイヤ「よりあり得ませんわよ! どうやって海からプールに入りますの!?」

鞠莉「あーんなすごいジャンプができるんだよ? プールにだってポーンと!」

ダイヤ「あり得ません!」

果南「あの、2人とも? もしもーし」

鞠莉「あ、私イルカも飼ってみたいなー。よーし、向こうのプールで拾ってきて……」

ダイヤ「向こうのプールで拾ってって何ですの? 完璧に誘拐ですわよ!」

鞠莉「じゃあ、身代金にペンギンを!」

ダイヤ「意味が分かりません」

果南「えっと、どうしたらいいのかなこの状況は」

鞠莉「もーう、ダイヤのケチ!」

ダイヤ「ケチとかそういう問題じゃありません!」

鞠莉「ムチ」

ダイヤ「どういう意味ですの」

鞠莉「何も知らないって意味の無知じゃないよ? 叩く方の鞭!」

ダイヤ「なるほどそれなら……ってよくありまあせんわよ!」

鞠莉「えー? 似合ってると思うけど。鞭でピシピシッと!」

ダイヤ「しませんわよ私にどういうイメージを持ってますの?」

鞠莉「調教師!」

ダイヤ「もう会話の展開が唐突すぎてどう返していいかわかりませんわよ。何故調教師ですの? 私がペンギンやイルカを調教しろと? 私に飼えと? 飼うのはあなたで、ってそれも許した覚えはありませんけど! とにかく私に対する(フェードアウト)