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津島 曜一郎

ドイツ人

CYaRon! 松月をさがして

千歌「世の中お金なんだよ!」

梨子「千歌ちゃん?」

曜「それって、アイドルが言うセリフ?」

ダイヤ「確かにお金ですわね」

果南「ダイヤまで……」

鞠莉「オーゥ! ダイヤイズマネー?」

ルビィ「どうしちゃったの? 千歌ちゃんもお姉ちゃんも」

善子「お金に魂を売ったんだわ! 私が、悪魔に魂を売ったように……」

花丸「あわわわ……大変なことになったずらぁ」

千歌「どうすれば手っ取り早くお金を稼げるかな」

ダイヤ「そうですわね。女子高生が手っ取り早くお金を稼ぐ手段と言えば!」

曜「って! やめてよ千歌ちゃん!」

鞠莉「ダイヤもだよ!」

曜「私達、お金のためにアイドルやってるんじゃないよね? なのに千歌ちゃんがそんなこと言ったら……」

千歌「違うよ曜ちゃん」

曜「え?」

千歌「お金のためにアイドルじゃなくて、アイドルのためにお金なんだよ」

曜「アイドルのために? え?」

千歌「だ・か・ら! お金のためにアイドルをやるんじゃなくて、アイドルのためにお金をやる! ……あ、って、あれ?」

ダイヤ「落ち着きなさい、千歌さん」

千歌「はい、落ち着きます」

ダイヤ「つまりこういうことですわ。私達がアイドルとして活動するためにお金がいるということです」

曜「え? でも、何のために?」

ダイヤ「はあ……決まっているでしょう!? 次のライブの衣装を作るためですわよ!」

ダイヤ以外「ああ~」

果南「そうだよね、いきなりお金なんて言い出すから何かと思った」

梨子「千歌ちゃんが紛らわしい言い方するから」

善子「そうよ! 紛らわしいわ! せっかく二人が悪の道を歩み始めたと思ったのに。この私と同じように」

花丸「善子ちゃんの場合、悪の道というより残念な道って感じだけど」

善子「心地良いわ、私を讃えるその言葉」

花丸「讃えてないよ、全然」

善子「というか、私はヨハネよ!」

ルビィ「そういうところが」

千歌「とにかくとにかく! 次のライブのすっごい衣装を作るためにはすっごくお金が必要なんだよ!」

鞠莉「オーゥ! すっごくメニ-?」

千歌「メニーメニー!」

梨子「そんなにメニ-じゃないよね。あとお金はメニーじゃなくてマッチだよね」

千歌「お~、梨子ちゃん賢い」

鞠莉「かしこ~い!」

梨子「いや鞠莉さんはわかってくださいよ」

ダイヤ「とにかく、お金がいることは事実よ。そこでみなさんには、早急にお金を稼いでもらいますわ」

ダイヤ・千歌以外「ええーー!?」

千歌「早急でサンキュー!」

梨子「って全然サンキューじゃない!」

鞠莉「正確にはThank you!」

梨子「発音の問題じゃなくて」

ダイヤ「勤め先はもう手配してありますわ!」

梨子「手配してあるの? って、勤め先?」

ダイヤ「これからみなさんには、衣装のお金を稼ぐためにバイトをしていただきます」

ダイヤ・千歌以外「ええーーーーーー!?」

 

場面チェンジ

 

千歌「ついに来たね……」

ルビィ「き、来ちゃったね……」

曜「って、何緊張してるの二人とも」

千歌「緊張するよ曜ちゃん! 今からここが、私達三人の戦場になるんだよ!」

曜「戦場って……」

千歌「あ、ちなみに、船の上と書いて船上じゃないから」

曜「うぇ! 違うの……」

ルビィ「って、そこガッカリするところ!?」

千歌「さあ行くよ! 二人とも! 私達の戦場、松月へ!」

曜「オー!」

ルビィ「お、お~……」

場面チェンジ

千歌「いらっしゃいませー!」

曜「こちらお持ち帰りでしょうか? かしこまりました」

ルビィ「あ、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

 

場面チェンジ

 

ルビィ「ふぅ……」

曜「ちゃんと応対できるようになったね、ルビィちゃん」

ルビィ「そ、そうかなぁ。へへ」

曜「けど、松月でバイトすることになるなんてね」

ルビィ「お菓子を食べたことはあるけど、その、松月で自分が働くなんて」

曜「松月でねー」

ルビィ「ホント、この松月で……」

千歌「ちょっと待った!」

曜・ルビィ「え?」

千歌「二人とも、それって問題あるよ」

曜「問題?」

ルビィ「ルビィ達、何か間違ってた!?」

千歌「間違ってるよ! なに松月を知ってる前提で会話してるの?」

曜・ルビィ「え?」

千歌「え? じゃなくて! 松月を知らない人もいるかもしれないでしょ?」

曜「いや、私達みんな知ってるし」

ルビィ「ここにはルビィ達三人しかいないし。今バイトしてる場所を知らないって……」

千歌「万が一があるでしょ」

曜「ないよ」

千歌「例えば、ちょっと前にルビィちゃんが滑って転んで頭を打って記憶をなくしてるかも」

ルビィ「なくしてないよ!」

曜「何その超展開」

千歌「とにかく、もしもに備えてきちんと松月を紹介しないと」

ルビィ「う、うん」

曜「まあ、いいけど」

千歌「それでは説明します。私達がバイトしている松月は、ケーキや和菓子の食べられるお菓子屋さんです。以上」

曜・ルビィ「みじか!?」

千歌「というわけで、私達松月の今後について考えたいと思うんだけど」

曜・ルビィ「ちょっとちょっと!」

ルビィ「こんごって、今後!?」

曜「私達、ただのバイトだよ?」

千歌「バイトでもここで働く従業員には違いないよ。だからちゃんと、お店の将来のことも考えないと」

曜「それこそバイトの考えることじゃないんじゃ……」

千歌「よーし、そうと決まったら作戦会議だ!」

ルビィ「ちょ、まだバイト中……千歌ちゃぁん!」

場面チェンジ

曜「千歌ちゃん」

ルビィ「ルビィ達、どうしてお店の外に?」

千歌「作戦会議だよ」

曜「なんでお店の外で? しかも、みかん畑で!」

ルビィ「あ! ルビィ達、黙って出てきちゃった! バイト中なのに……お、お、怒られる」

千歌「大丈夫。これも立派なバイトだから!」

ルビィ「全然立派なバイトじゃないよ!」

曜「ほら、怒られる前にお店に戻ろう?」

千歌「待って曜ちゃん!」

曜「千歌ちゃん?」

千歌「私達、これでいいの?」

曜「え、え、ええ~?」

千歌「このまま帰っても、私達お店にとってなんの力にもなれないよ」

曜「力になれるよ」

千歌「このみかん畑で掴むんだよ。松月が生まれ変わるために必要なアイディアを!」

曜「だからそんなの求められてないって」

千歌「ルビィちゃん!」

ルビィ「は、はい!」

千歌「松月といえば?」

ルビィ「ええ!?」

千歌「松月といえば?」

ルビィ「松月といえば……その……お菓子屋さん……?」

千歌「そう! お菓子屋さん! ケーキやクッキーのような洋菓子だけでなく、和菓子も取り揃え幅広い年代に愛される地元イチオシのお店です!」

曜「宣伝みたいになってるけど」

千歌「松月といえばお菓子、お菓子といえば松月」

ルビィ「う、うん……」

千歌「そこで、このみかん畑に来た意味があるんだよ」

曜・ルビィ「え?」

千歌「お菓子といえば松月、の松月ですが、将来はどうなるかわかりません。都会のおしゃれなスイーツのお店が、ドカドカ出店してきて競争に晒される可能性も無きにしもあらず」

曜「いや、ドカドカは来ないと思うけど」

千歌「そこで! 松月でしか買えないという特別なお菓子がほしいんだよ! 時代はプレミアムなんだよ」

ルビィ「時代はプレミアム……」

曜「そうかな……」

千歌「プレミアムといえばここにしかないもの。だから私達はこうしてみかん畑にいるわけです」

曜・ルビィ「おお~」

曜「つまり、こういうこと?みかんを使った特別なお菓子を作ろうと」

千歌「そうそう、そうだよ曜ちゃん」

ルビィ「あ、あの」

千歌「なになに? ルビィちゃん!早速アイディア?」

ルビィ「あるよ?」

千歌「え?」

曜「うん、ある」

千歌「ああー! アイディアがあるってこと?どんなアイディア?」

ルビィ「そ、そうじゃなくて」

曜「あるんだよ、千歌ちゃん」

千歌「もーう! アイディアがあることはわかったから! どんなアイディア? ねえ! ねえ!」

曜「あ~そうじゃなくて! もうあるんだよ、みかんのお菓子」

千歌「え?」

ルビィ「あるよ、みかんのお菓子」

千歌「え!?」

曜「あるよ、みかんどら焼きとかみかんパウンドとか」

千歌「あったの!?」

ルビィ「あったよ」

曜「というか、気付かなかったの?」

千歌「そんな、いつの間に!? 私の目を盗んで……」

曜・ルビィ「盗んでない盗んでない!」

千歌「うう~、そんなぁ~!」

ルビィ「えーっとぉ、じゃあ、そろそろお店に……」

千歌「待てぇい!!」

ルビィ「ピヤァァァ!?」

千歌「甘いよ、ルビィちゃん」

ルビィ「ル、ルビィ、甘いの!?」

千歌「もっと甘くならなくちゃダメだよ!」

ルビィ「うぇぇ!?」

千歌「だって、お菓子屋さんで働いてるんだから!」

曜「わかるようで全然わからないよ、言ってることの意味が」

千歌「とにかくとにかく! ここで良いアイディアを考えないと、お店には戻れないの!」

曜「戻れるよ」

ルビィ「それに、もうみかんのお菓子はあるんだから、ここで考える必要は……」

千歌「甘ぁい!」

ルビィ「ピギャアァ! あ、甘くて良いんだっけ。えーっと」

千歌「さあ、もっと甘い甘いスイーーーツなアイディアを、みんなで考えよう! おおー!」

曜・ルビィ「ええー!?」


千歌「そして、三人の少女達の挑戦は始まった」


千歌「曜ちゃん、ルビィちゃん! 私達、生まれた時は違っても、死ぬ時は一緒だよ!」

曜・ルビィ「うん!」

千歌「みかん色の旗のもと、きっと私達の夢を叶えてみせようぞ!」

曜・ルビィ「おおー!」

(波の音)

千歌・ルビィ「きゃあ!」

曜「二人とも怯むな! 帆先を波に向けるんだ!」

千歌・ルビィ「おおー!」

曜「吹けよ-風! 荒れよ-波! 海は、この渡辺曜が故郷。どれほど猛り狂おうが恐れることなど何もない!」

ルビィ「さすが曜ちゃん!」

千歌「頑張って曜ちゃん! この果てしない大海原の向こう! 未だ見果てぬ大地に向かって!」

曜「ヨーソロー!」

(合戦の音)

ルビィ「ぴゃあああ!」

千歌「ルビィちゃん!」

曜「しっかり!」

ルビィ「千歌ちゃん……曜ちゃん……ルビィ……もう……」

千歌「何弱気なこと言ってるの!」

曜「そうだよ! 死ぬ時は三人一緒って言ったじゃない!」

ルビィ「けど、ルビィがいたら……足手まといに……」

千歌「ふんっ」

ルビィ「え?」

曜「千歌ちゃん!?」

千歌「心配しないで。ルビィちゃんをお姫様抱っこするくらい、余裕だよ」

ルビィ「千歌ちゃん……ルビィのために……」

千歌「さあ、行くよ! 必ず三人で、ここを突破してみせる!」

曜・ルビィ「おおー!」

(恐竜が吠える)

三人「きゃあ!」

ルビィ「ど、ど、どどどどどどどうしよう!? ここを超えないと先には!」

曜「先に行って」

ルビィ「え?」

曜「ここは、私に任せて。二人は先に行って!」

ルビィ「そ、そそそそんな!? 無茶だよ!」

曜「大丈夫! すぐに追いつくから……」

ルビィ「う、う、ううん。ルビィ達も一緒に!」

千歌「行こう、ルビィちゃん」

ルビィ「千歌ちゃん!?」

千歌「私達には、時間がないんだよ」

ルビィ「で、でも、やっぱり……。」

千歌「ルビィちゃんのわからず屋!」

(叩く音)

ルビィ「きゃあ!」

千歌「曜ちゃんの思いを無駄にしちゃダメだよ! 言ったでしょ、すぐに追いつくって」

ルビィ「あ、千歌ちゃん、泣いて……」

千歌「曜ちゃんなら、大丈夫。大丈夫、だから」

ルビィ「千歌ちゃん……」

千歌「さあ行くよ」

ルビィ「うん!」

(走り去る音)

曜「ありがとう……千歌ちゃん……」

(爆発音)

曜「おっと。ここは通さないよ。私を信じてくれた千歌ちゃんのため、お前は……私が食い止めてみせる!」

(機械音)

ルビィ「うわぁ!な、なにこれ!」

千歌「こいつが全ての黒幕だったんだ! みんなこの機械に操られてたんだよ!」

ルビィ「ええ!?」

千歌「許せない……散っていった全ての人達のため、お前は私が倒す!」

(機械音)

千歌「きゃあ!」

ルビィ「千歌ちゃん!」

千歌「こいつ、強い!」

ルビィ「だ、大丈夫? 千歌ちゃん?千歌ちゃん!」

千歌「そんな……私の力じゃ、倒せないの? ここまで来たのに……もうすぐなのに……」

ルビィ「千歌ちゃん……」

曜「一人の力じゃ倒せなくても」

千歌・ルビィ「あ!」

曜「三人の力なら、きっと倒せる!」

千歌・ルビィ「曜ちゃん!」

曜「おまたせ、二人とも」

ルビィ「曜ちゃんが、本当に……」

千歌「遅かったね、曜ちゃん」

ルビィ「え?」

千歌「ちゃんと来てくれるって信じてたよ。だって私達、死ぬ時も生きる時も一緒だから!」

曜「うん!」

千歌「行くよ! 曜ちゃん! ルビィちゃん!」

曜・ルビィ「おおー!」

三人「やああああああああああああ!!」

(壁が崩れる音)

ルビィ「見て!壁の向こうに部屋が!」

千歌「ついに、ついに私達たどり着いたんだ!やったね!」

曜「うん!」

ルビィ「じゃあ、ここにあるんだね! 私達が探し求めていた……」

曜「幾多の苦難を乗り越え追い求めた!」

千歌「世界の宝、人類の希望、今ここに!」

(宝箱を開ける音)

三人「みんな大好き! 松月のみかんどら焼き!」

千歌「はい! というような伝説を三人で……。」

曜・ルビィ「作れない!」

曜「もう、いきなり語り始めた時は何かと思ったよ!」

ルビィ「なんか、アレみたいだよね。長いドラマの最後に実はCMだった……みたいな!」

千歌「CMじゃないよ!私達、これから松月のバイトとしてこういう伝説を!」

曜「って……バイト!? 私達、勝手にお店開けて来ちゃって!」

ルビィ「お、怒られる……。」

曜「行こう!」

ルビィ「うん!」

曜「ルビィちゃん早く早く! ああ転ばないで!」

千歌「曜ちゃん? ルビィちゃん? は! 早速伝説を作りに? ダメだよ、三人いないと伝説は作れないんだから! 待ってよーーー!」